どうしよう?

推奨されたのではてなダイアリーからインポートした

第Ⅱ部 パーソナリティ障害のタイプと対処

Kurilyn2004-07-10

パーソナリティ障害を持つ者は、の根本的な安心感の不足や、満たされない承認欲求を補うために、独特の偏った行動様式を発達させる。それは、彼らの生存を賭けた戦いの中で磨かれたものであるだけに、非常に魅力的な側面と、それゆけ危険な側面を併せ持っている。
ここでは、それぞれのパーソナリティ障害のタイプについて、もう少し踏み込んで論じてみたい。
各章ごとに、米国精神医学会の診断基準であるDSM−Ⅳから抜粋した、タイプごとの基準を掲載した。また巻末にはDSM−Ⅳに基づいて作成した自己診断シートが添えてあるので、活用していただきたい。手軽に大まかな傾向を把握できると思う。あなた自身や身近な人が、どれかのタイプに当てはまる場合もあるだろう。その場合も、慌てるには及ばない。こうした傾向が極端で、実際の日常生活や社会生活に大きな支障が生じている場合にのみ、病的なパーソナリティ障害といえるのである(三一ページ「パーソナリティ障害の全般的診断基準」参照)。また、先にも述べたように、そうした傾向が一時的でなく青年期または成人早期から続いていて、他の疾患や薬物の影響で起きていないことも診断の条件となる。
本書では、適応上差し支えない範囲のものを、単に「パーソナリティ」、病的レベルのものを「パーソナリティ障害」として区別した。
病的レベルではないが、傾向として当てはまるなという場合も、自分自身の特性を知っておくことは、とても重要だ。それは、自分が陥りやすいワナや破綻しやすい状況を予測する手がかりとなり、それを予め知ることによって、取り返しのつかない失敗や発病を予防することができる。
中には、二つ、三つの診断基準に該当したという人もいるだろう。その場合も、特にショックを受ける必要はない。パーソナリティにしろ、パーソナリティ障害にしろ、一つの傾向にのみ限定されるということは、むしろ稀である。たいていは、二つか三つの傾向が同居していることが多い。中核的なパーソナリティや脇役的なパーソナリティが、前景に出たり、背景に引っ込んだりするのである。「性格は変わらない」という一般に信じられている事実とは裏腹に、年齢や環境によって、パーソナリティは、かなり変動することがわかっているが、自分の中にある、いくつかの要素を知っておくことは、自分の多面性を理解することにつながるだろう。
また本書で力を注いだのは、周囲にそういう人がいる場合の接し方や、自分自身で克服していく場合の指針について、できるだけ現実に活かせる形で、ポイントや避けるべきことなどについて具体的なアドバイスを記した点である。それあ、臨床的な経験から得た知恵である。参考にしてほしい。