どうしよう?

推奨されたのではてなダイアリーからインポートした

第9章 親密な関係を求めない人々――シゾイドパーソナリティ障害

Kurilyn2004-07-24

特徴と背景

孤独と清貧の人生

ゾイド(総合失調質)パーソナリティ障害の特徴は、対人接触を求めないということである。このタイプの人にとって、孤独こそ最良の棲み家なのである。回避性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害などでも、自分の世界への引きこもりが見られるが、回避性や自己愛性の引きこもりが、本当は対人接触を求めているが、傷つけられるのを避けるために行われるのに対して、シゾイドパーソナリティ障害の場合は、対人接触よりも、孤独な環境のほうが本来好きであるという点に特徴がある。
彼にとっては、異性さえ、余り必要なものではないかのようだ。このタイプの人には、天性の独身主義という形容が当てはまる人も多い。彼らにとっては、配偶者を得ることよりも、自分の世界を守ることのほうが優先課題なのである。
ゾイドパーソナリティの人は、静かで淡々とした生活を好む。贅沢や華美に走ることを嫌う。生活は質素で、たとえお金があっても、食事や衣装、住居にお金をかけるということもない。スキゾタイパルな人と同様、外見には余りこだわらないが、感性や趣味は意外に洗練されていることもある。
貪欲さや成金趣味とは正反対な人で、清貧に生きることが多いし、似合っている。物質的なものよりも、精神的で、内面的な価値に重きを置く。世俗になじまない、世捨て人のような雰囲気があるのだ。修道僧のような人生を歩んだり、本当に世を捨ててホームレスになってしまう人もいる。
欲が乏しいということは、物質的な面だけでなく、肉体的な面にも及ぶ。このタイプの人は、概して禁欲的で、積極的に楽しみを求めたりすることも少ない。出世欲や名誉欲もあまりなく、むしろ、世俗の欲にまみれた、醜い生存競争の世界から遠ざかりたいと思っている。遁世願望や都会を脱出して、大自然の中で自給自足の生活ができればと、思っている人も多い。実際に、何らかの形で、そうした計画を実行する人もいる。
欲の乏しさは、性欲にもおよんでいる。男女が、肉体的に愛し合うことに、違和感や罪悪感を覚える人が多い。そうしたドロドロした関係ではなく、プラトニックで精神的な関係を求めようとする。
欲の乏しさを反映して、喜怒哀楽や感情も淡白で、希薄な傾向がある。この感情の淡さは、シゾイドパーソナリティのもう一つの大きな特徴である。
それで、感情が余りないとか、平板だという誤解を受けやすいが、本当は、極めて繊細で、わずかの感情の動きにも敏感であるがゆえに、強過ぎる感情は、ただ不快に感じるだけなのである。